ロト6の予想サイトでよく見かけるのが、これです。
「今回はJセットだから、この数字が来る」
ロト6の抽せんに使う球は、同じものが何組も用意されています。どの組を使うかは、抽せんの当日に決まります。
もし組によってクセがあるなら、大きな手がかりです。
ロト7では同じことを694回ぶん調べました。ロト6ならその3倍のデータが使えます。
・セット球とは何か、誰がいつ決めているのか
・2,135回でいちばん極端だった組み合わせはどれか
・その極端さが「普通のブレ」なのかどうか
・セット別の数字を買い続けたら成績はどうなったか
・データを集める途中で見つかった間違いのこと
① まず「でたらめならどうなるか」を計算します。
② つぎに実際のデータと比べます。
③ その差が普通のブレの中かどうかを見ます。
この3ステップだけです。むずかしい言葉は水色の囲みにまとめたので、読み飛ばしても話は通じます。
ロト6の抽せん機に入れる球は、43個で1組です。
その組がA から J までの10組あり、抽せんの当日に、どの組を使うかが決まります。
つまり前もって知ることはできません。抽せんが終わってから「今回はJだった」とわかる仕組みです。
ここが最初の大事な点です。クセがあったとしても、買う時点ではどの組が使われるかわかりません。それでも、クセが本当にあるのかは確かめておきたいところです。
10組 × 43個で、430マスの表ができます。
全2,135回を数えて、いちばん極端だったマスがこれでした。
29回出るはずのところが14回。半分以下です。
「Jセットのときは14番を外せばいい」と言いたくなりますし、実際こういう数字を根拠にした予想はよく見かけます。
でも、ここで立ち止まる必要があります。
いま見ているのは430マスの中でいちばん極端だったマスです。
430個もマスがあれば、全部がでたらめでも、どれか1つは必ず極端になります。
そこで、公平な抽せん機で同じことを2万回くりかえして比べました。
| いちばん極端なマス | |
|---|---|
| 実際のデータ | 209回中14回 |
| 公平な抽せん機でも これ以上に極端になる割合 | 約63% |
※ セットの割り当てだけを切り直して2万回ためした結果です。
つまり公平な抽せんでも、3回に2回はこれくらい極端なマスが出ます。
ロト7で同じことを調べたときは「5回に1回」でした。データが3倍あるロト6では、さらにありふれた出来事だったわけです。
ここが今回いちばん大事なところです。
もしセット球に本物のクセがあるなら、そのクセはいつ測っても同じ向きに出るはずです。球の重さがわずかに違うなら、昔でも最近でも同じ数字が出にくいはずですよね。
そこで期間を割って、430マスのズレ方がどれくらい似ているかを点数にしました。
| くらべた期間 | 似ぐあい |
|---|---|
| 前半 と 後半 | −5.0点 |
| 4分の1期 と 4分の2期 | 1.4点 |
| 4分の3期 と 4分の4期 | −0.5点 |
※ 完全に同じなら100点、まったく無関係なら0点になる点数です。
どれもほぼ0点でした。マイナスすらあります。
前半でよく出ていた組み合わせは、後半ではまったく別でした。クセが続いていません。
2,135回という長さで測ってもこうなるので、クセは無いと考えるのが自然です。
本当に買い続けたつもりで計算しました。抽せんのセットがわかった時点で、そのセットで過去によく出ていた23個を選びます。
そして当せん6個のうち何個が入っていたかを、1,835回ぶん数えました。
| 選び方 | 当せん6個のうち 入っていた数 |
|---|---|
| セット別によく出た23個 | 3.191個 |
| セットを無視した23個 | 3.182個 |
| でたらめに23個 | 3.209個 |
※ その回より前のデータだけで選んでいます(あとから答えを見ないため)。
3つともほとんど同じでした。
しかもいちばん成績が良かったのは「でたらめに23個」です。手間をかけて過去を調べた2つが、どちらもそれに届きませんでした。
「Aばかり使われている」という話も聞くので、使用回数も数えました。
| セット | 使われた回数 |
|---|---|
| いちばん多い(A) | 240回 |
| 平均 | 213.5回 |
| いちばん少ない(G・H) | 204回 |
AとG・Hで36回の差ですが、公平でも10回中8回はこれ以上の差がつきました。
ここは正直に書いておきます。どのセットを使ったかを、主催者は公表していません。
今回使ったのは、抽せんを記録している第三者のサイト2つのデータです。
ところが1つ目のサイトのデータを読み込んだところ、2か所おかしな点がありました。
① ページの末尾に置かれた「A〜Jの凡例」が、データの続きとして混ざっていた
② 50回ずつの区切りのうち1つで、1回ぶんが抜けていた(そこから後ろが1回ずつズレる)
②が怖いところです。1回ぶん抜けただけで、その後ろの数字が全部ズレます。気づかずに使えば、分析はまるごと間違えます。
そこで回号が1つずつ書かれている2つ目のサイトと突き合わせました。
| 結果 | |
|---|---|
| 2つが重なる範囲 | 1,198回 |
| 一致した割合 | 99.75% |
| 食い違った回 | 3回 |
ほぼ完全に一致しました。ズレていた区切りも2つ目のデータで直せています。
食い違った3回はどちらが正しいかわからないので、検証から外しました。2,138回から3回を引いて2,135回、というのがこの記事の母数です。
この検証では、教科書どおりのカイ2乗検定を使っていません。ロト6は1回に6個を「重複なし」で引くため、帰無仮説のもとでの統計量の期待値が自由度387より小さくなり、そのまま当てはめると p が大きく出て本当の偏りを見落とします。そこでセットの割り当てだけを並べ替える検定(2万回)を使いました。全期間のばらつきは p=0.56、期間を4つに割っても最小で p=0.06 と、いずれも普通のブレの範囲です。計算に使ったプログラムは tools/setball/ に置いてあります。読み飛ばしても結論は変わりません。
ここまで読んで、がっかりさせてしまったかもしれません。でもセット球を見るのをやめる必要はありません。
抽せんのあとに「今回はJだったのか」と確かめるのは楽しいものです。数字を選ぶときの取っかかりにもなります。
ロト6の組み合わせは約610万通り。何の手がかりもなく決めるのは大変です。気をつけたいのは、ひとつだけ。
「Jセットだから、いつもより多く買う」——この使い方だけは、おすすめできません。
どのセットでも、どの数字でも、1回の抽せんで選ばれる見込みは約14%のままだからです。
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